[横浜の通船・ラインボート ]
2025年12月16日
ブルーライト3号・メンテナンス現場レポート【内装編】
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
今回は、2度目のドック入りを経て再び大桟橋に戻ってきた、ブルーライト3号のメンテナンスの続編を現場からお届けします。
▲ブリッジ、デッキの塗装を終えたブルーライト3号
@ブリッジ内装の見直し
塗装作業を終え、続いてブリッジの内装に手を入れることになりました。
建造から43年。これまで幾度ものメンテナンスを重ねてきたブルーライト3号ですが、あらためて見渡してみると、床の傷みが目立ちます。
そこで、ブリッジの床に敷かれているクッションフロアを張り替えることにしました。
当初は、他の船の修繕で余ったクッションフロア材を使う予定でした。しかし、実際に床のサイズを測ってみると、わずかに足りないことが判明。つぎはぎで貼る案も検討されましたが、最終的には「まず椅子のレイアウトを決めてから考えよう」という結論に至りました。こうして、フロア張り替えに向けた準備として、ひとまず椅子の移動作業から着手することになりました。
▲フロアシートを船内に運び込むも、「微妙に足りない…!」
A椅子の配置をめぐる試行錯誤
この後部座席、もともとは船内中央に向き合うように取り付けられていたそうです。
ところが、少し前まで操舵席との隙間が狭く、実質的に「座れない配置」になっていました。
▲操舵席とのスペースがなく、座れない後部座席。メンテナンス前は座席ごと取り外されていた。
──なぜこうなったのか。
理由をたどると、操舵席横のサイドテーブルを延長したことがきっかけでした。
その結果、テーブルが後部座席に干渉し、椅子の向きを変えざるを得なくなったようです。
▲サイドテーブルに肘を置くことで操船の姿勢が安定するのだとか。
さらに、操舵席の椅子自体も後ろ寄りに取り付けられていたため、操船時に踏ん張りがきかないという問題も。
ちょうどこの日の午前中、ブルーライト3号は通常業務で稼働していました。普段とは違う椅子の位置、慣れない姿勢での操船に、「疲れた〜」と船長。座り心地と操舵性を向上させるべく、椅子の移設を進めます。
▲操舵席まわりは、操船のしやすさに直結する重要なポイント。移設前のチェックは入念に。
B建造時の配置へ。わずか1時間のチーム作業
後部座席を再び使えるようにするため、操舵席を前方へ移設。カットしたサイドテーブルは、ぐらつかないよう脚を移設して再固定しました。
後部座席は、中央向きにするか、操舵席と同じ前向きにするかでしばし思案。
最終的には、建造当時と同じ「船内中央に向けた配置」に落ち着きました。
迷いのない判断でキビキビと作業が進められていき、わずか1時間ほどでここまでの作業が完了。日頃から一緒に船を扱っているチームワークのなせる技です。
▲サイドテーブルをカットしたことで、後部座席はピタッと定位置へ。
Cフロアの行方は…?
椅子の移動を終えたところで、あらためてフロアについて計画を再考。
・フロアシートが足りないこと
・傷み具合が場所によって異なること
これらを踏まえ、傷んだ部分だけをメンテナンスしやすい「タイルシート」を採用する案が浮上しました。
全面張り替えではなく、必要な箇所を柔軟に交換できるのも、現場目線ならではの選択です。
▲判断に迷いがない二人。わずか1時間で椅子の移動が完了した。
おわりに
今回のメンテナンスを通して感じたのは、船は「完成して終わり」ではなく、使いながら、直しながら、乗る人に合わせて育っていく存在だということ。みんなで使う船だからこそ、誰もが操船しやすい配置、安全に作業できる環境づくりが欠かせません。
これからも、”はたらく船”のリアルな姿を、ブログやYouTubeを通してお届けしていきます。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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