BLOG

2022年06月09日 [安全に関して]

船の状況を周りに知らせるにはどうする?【形象物・黒球】 

はじめに



いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。前回は法定備品の赤バケツの話でしたね。危機が差し迫ったときでも赤色ならすぐに見つけられるということで、消火用バケツには赤色が使われていました。そして今回フューチャーする色は、黒球のみ

この黒い球、何に使うか考えながら読んでみてください😁



もくじ




船のルールいろいろ



海の上では、衝突を防止するためにいろいろな航法があります。
※航法:出発地から経由地、目的地までの航行を導く方法


他船を右舷側に見る船舶は、他船の進路を避けなければならない「横切り船の航法」や、後方から接近する追越し船は、追い越される船を確実に追い越し、十分に遠ざかるまで追い越される船の進路を避けなければならない「追越し船の航法」などが、代表的なものです。

このように安全に航行するためにたくさんの航法が定められていますが、 相手船の状況がわからなければ、どの航法で避ければ良いのか判断することができません。

ではどのように船舶間で状況を知らせれば良いのでしょうか?



答えは、形象物を掲げること。そこで登場するのが冒頭に登場した黒い球です。黒球手持ち


船の形象物〜昼間〜


黒球図船で使用される形象物には5つの種類がありますが、今回はAの黒球について解説します。黒球は小型船舶の法定備品として以下のように定められています。

小型船舶安全規則 法定備品

○全長12m未満の船の黒球装備義務個数
 ・港域・航路等を頻繁に航行する船は2個
 ・錨泊するものは1個
 ・7m未満の船は狭い水道等で錨泊するものに限り1個
○全長12m以上の船は3個の黒球装備義務
○全長20m以上の船は直径600mm以上の黒球3個を装備する事

ざっくりいうと、船の大きさによって規則が異なります。



黒球の使い方



船灯は夜間に、形象物は昼間に船舶の動きや状態をお互いに知らせ合い確認するために表示する設備です。夜間に灯火を表示するように、状況に応じて昼間に形象物を掲げます。車がハザードランプで停車を知らせるようなイメージですね。黒球全景

黒球が1個掲げられた状態



黒球が掲げられているということは、その船がすぐに動けない状態を表しています。そして、この黒い球が増えるごとに動けない度合いが増していきます。黒球

イラスト黒球1個

黒球1個 錨泊中の合図

イラスト黒球2個

黒球2個 航行不能の合図



おわりに



船舶間で安全に航法を適用するには、誰が見てもお互いの船舶がどのような状態かすぐにわかる必要があります。形象物はそのための大事な伝達手段。上記のイラストのほか、形状の違う形象物を組み合わせて、航行中の船に船舶の状況を知らせています。
港内では形象物を掲げている船舶を比較的見つけやすいので、ぜひ注目してみてください。


編集後記


いつもポートサービスのブログを読んでくださってありがとうございます。ブログ担当のYは船の初心者です🔰つい先日、研修で船に乗せてもらったとき、船長さんが遠くの船を見て、『あの船はアンカーを降ろしているから…』と話してくれました。この時、「なんでアンカーを降ろしていることがわかるんだろう?」と不思議に思ったのですが、船長は瞬時に黒球の合図を見つけていたんですね。さすがです!ブログを読んでくれた皆さんも(わたしも💦)、今日からは形象物を見て判断できそうすね🎵では次回のブログもお楽しみに。

ポートサービスの公式アカウントでは交通船や横浜の魅力を発信中!
💁‍♀️Instagram
💁‍♀️
ブログ
💁‍♀️
YouTube


資料引用
追越し船の航法_海難審判所ホームページ
昼間の航海 船の形象物(その1)海難審判所ホームページ

ブログ記事一覧

【最近の記事】

【カテゴリーリスト】

PageTop

MENU