2025年08月05日 [横浜の通船・ラインボート ]
「助けて!」その声が届かない?海の緊急通報118番の「99%の現実」と、私たちにできること
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
夏本番を迎え、海や川など水辺でのレジャーが盛んになるこの季節。水の事故も増える時期だからこそ、今あらためて“海の安全”について考えてみませんか?
ポートサービスでは現在、3週連続の安全特集を実施中!
これまでに「救命浮環」「ライフジャケット」を取り上げてきましたが、今回は意外と知られていない海の緊急通報番号「118番」をご紹介します。
「海にも110番みたいな番号があるの?」という方にも、ぜひ知ってほしい大切な情報です。

海にも“110番”がある?——118番とは
皆さんは、海の緊急通報番号「118番」をご存じでしょうか?
事件や事故は「110番」
火災や救急は「119番」
そして海のトラブルは「118番」
これは海上保安庁に直接つながる緊急ダイヤルで、海難事故や不審船の目撃、油の流出など、海上での異常事態に対応しています。
たとえばこんなときには、迷わず通報を👇
✅落水者を見つけた
✅沈みかけた船を見かけた
✅密漁や不審な操船を目撃した
✅油や汚染物が広がっている
通報の際は「いつ・どこで・何が起きたか」を簡潔に伝えるのがポイントです。また、スマートフォンのGPS機能をオンにしておくと、正確な位置情報を伝えられ、より迅速な対応につながります。

【実例】実際の落水者救助現場から
港や岸壁では、思わぬタイミングで落水事故に遭遇することがあります。ポートサービスでも、こんな事例がありました。
ある日、いつも通りパイロット送迎のために船を出そうとした際、岸壁から20mほど離れた海上に、衣服を着たまま浮いている落水者を発見。
船長と乗組員は即座に連携し、船に備え付けていた救命浮環を投入。水上警察署の署員を船に同乗させ、速やかに救助活動にあたりました。
このときの様子は、こちらからご覧ください。
こうした“もしも”は、決して他人事ではありません。いざというとき、ためらわずに「118番」に通報できる判断力と知識が、命を守る力になります。
知られざる現実──通報の99%が“いたずら電話”
ここで、ひとつ深刻な課題があります。
令和6年(2024年)に「118番」に寄せられた約40万件の通報のうち、なんと99%以上が、間違い電話や無言、ワン切り、いたずら電話だったそうです。
こうした不要な通報が、本当に救助を必要としている人の妨げとなり、対応の遅れにつながる恐れがあります。
海上保安庁はこの状況を重く見て、いたずらや誤発信は絶対にやめるよう強く呼びかけています。
進化する通報システム──より確実な救助のために
このような課題への対応として、海上保安庁では通報手段の多様化と利便性向上を進めています。
📱「Live118」:映像で伝える新しい通報
2025年1月からは、スマートフォンで現場の様子を映像で伝えることができる新システム「Live118」がスタート。
アプリのダウンロードは不要で、必要に応じて海上保安官から映像通報の案内が届き、そのままスマホでリアルタイム映像を共有することができます。
💬「NET118」:聴覚・発話に障害のある方のために
また、聴覚や発話に障害のある方を対象としたチャット通報システム「NET118」は、2019年から運用中。
事前登録を行うことで、スマートフォンやタブレットからチャット形式で通報できる仕組みが整えられています。

おわりに
海での事故や落水といったトラブルは、いつ・どこで起きても不思議ではありません。だからこそ、正しい通報先を知り、迷わず行動できる備えが大切です。
ポートサービスでは、海上での不測の事態に備え、定期的な訓練を実施しています。これからも、安全対策を徹底し、迅速かつ適切な対応に努めてまいります。今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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参考文献
海上保安庁 海の「事件・事故」は118番
政府広報オンライン
LIVE118
NET118