2025年09月30日 [横浜の通船・ラインボート ]
【小型船舶の仕事】大きな船の接岸ってどうやるの?
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
ポートサービスは小型船舶の運航を通じて、大型船の東京湾への入出港をサポートしています。
小型船舶とは、総トン数20トン未満(または24メートル未満)の比較的小さな船のこと。
見た目は小さくても、レジャーから港湾作業まで活躍の場は広く、「大きな船を支える縁の下の力持ち」でもあります。今回はそんな小型船舶が活躍する大型船のつなとり作業について紹介します。

世界の大きな船
2023年1月15日、本牧ふ頭のターミナルには、過去最大級の15,000TEU型超大型コンテナ船が初めて寄港しました。全長は約366メートル、幅は51メートル。
積めるコンテナの数は、なんと15,074TEUです。
TEUはコンテナの数を数える単位で、1TEUは20フィート(約6メートル)のコンテナ1つに相当します。つまり、この船には冷蔵庫や自転車が入るような20フィートコンテナが、15,000個も積めるということです。
さらに、大型船といえば液体を運ぶタンカー船もあります。原油やガソリン、液化天然ガス(LNG)、化学薬品などを大量に運ぶための特別な船です。歴史上一番大きかった「シーワイズ・ジャイアント」はすでに解体されましたが、現役最大級のタンカー「オセアニア」は全長380メートル、幅68メートル、40万トン以上の荷物を運ぶ力を持っています。
また、横浜港には世界の大型客船も寄港します。その一例を挙げると、MSCベリッシマ(MSC Bellissima)は、総トン数約171,598トン、全長約315.8メートル、乗客定員4,418人を誇り、横浜港に寄港した最大級の客船です。「海の上のホテル」とも称され、港の景色が入港のたびに大きく変わるほどの迫力です。

大型船を安全に接岸させる”つなとり”の秘密
上の写真は大桟橋営業所にずらりと並んだ小型船舶たち。係留には数本のロープが使用されています。しかし、前項で紹介したような数万トン級のタンカーや貨物船になると、その方法もスケールアップ。ここからは大迫力の巨大タンカーのつなとりの現場写真をもとに、「大きな船のつなとり作業」についてご紹介します。
安全の命綱”係留ロープ”は何本必要?
前述した通り、小さな船は通常数本のロープで係留されています。(台風など、荒天時には”増しもやい”といって、通常より多くの係留ロープを使って安全を確保します)
しかし、大型船になると「スターンライン(船尾)」や「ヘッドライン(船首)」をはじめ、横方向・縦方向・斜め方向へと合計で何本ものロープを取ります。
これは、風や潮の流れで船が動かないように固定するため。下の写真のつなとりの際は、後方側のロープだけでも、7本のロープが使われました。
また、大きな船では単に「ロープが多い」だけでなく、太さ(断面)や材質の組み合わせで耐力・伸び・安全性を確保しています。直径が数十センチを超えるような、太くて耐久性のあるロープが使われることもあります。

つなとりボートとタグボートとの連携
大きな船を接岸させるためには、タグボートとの連携も欠かせません。タグボートは強力な水流を出しながら本船を押したり引いたりして岸壁へと誘導しますが、ここには注意が必要です。
下の写真のように本船(作業対象となる船)の反対側からタグボートが押している場合、タグボートだけでなく、本船と岸壁との周りにも強い水流が巻き起こります。
つなとりをするボートがタグボートの作る水流に巻き込まれる危険があるため、本船に近づく際には細心の注意を払います。

おわりに
大型船のつなとり作業は、小型船舶とタグボートの連携、太く丈夫なロープの扱い、そして周囲の安全確認がすべて一体となった、繊細でありながら迫力満点の作業です。
港で活躍する小型船舶は、巨大船を安全に導く「縁の下の力持ち」として欠かせない存在です。
もし、この迫力ある仕事に携わってみたいと思った方は、ぜひポートサービスの求人ページもチェックしてみてください。今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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参考文献
国交相記者発表資料
横浜港にクルーズ船5隻が同時に着岸 国内初
世界最大のタンカーについて