[横浜の通船・ラインボート ]
2026年05月26日
全長300mのLNG船を接岸させる仕事|タグボート・つなとり作業の舞台裏
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
今回は、全長約300メートルのLNG船の接岸作業をご紹介します。
大型船の接岸には、タグボートやつなとりボート、パイロット(水先案内人)や本船の乗組員など、多くの人と船が連携しながら作業を行っています。今回は、その中でも「船尾側」のつなとり作業に密着しました。
実際には船首側でも同時にロープ作業が行われており、大型船の入港作業は、さまざまな現場の連携によって成り立っています。
お団子みたいな巨大船?LNG船の特徴
作業対象となる船のことを、「本船」と呼びます。今回の本船は、丸いタンクが並んだ特徴的な船。この船は、LNG(液化天然ガス)を運ぶ「LNG船」です。
天然ガスをマイナス162℃まで冷却して液体化することで、大量輸送を可能にしています。丸いタンクは、その超低温の液化天然ガスを安全に運ぶための設備。一般的な貨物船とは少し違う独特な見た目は、港でもひときわ目を引きます。まるでお団子のようですね☺️
▲球状のタンクが並ぶLNG船
接岸を支えるタグボートとつなとりボート
本船は全長300mもの大きさ──これは東京タワーの高さ(333m)に匹敵します。この大きさの本船を安全に接岸させるために、今回の現場では3隻のタグボートと2隻のつなとりボートが連携しています。
このような大きな船は、自船だけで細かく位置を調整することが難しいため、岸壁に近づく前からタグボートが並走しながら接岸作業を行います。つなとり作業中も、タグボートは本船の動きを支え続けます。
- タグボート……本船を直接押したり、ロープで引いたりしながら位置を調整
- つなとりボート……本船から出された係留ロープを受け取り、岸壁へ届ける
▲本船の横に見えるのがタグボート
タグボートに誘導されて岸壁へと本船が移動してきます。風や潮の流れなどで船体が動いてしまわないよう、複数の太く、頑丈な係留ロープが岸壁へと繋がれます。
船尾側だけで8本のロープ
今回ポートサービスのつなとりボートが担当したのは、船尾側のロープ作業のみ。船尾側だけでも全部で8本のロープを使用しています。さらに、船首側でも別のつなとりボートが同時に作業を行っています。
ロープの取り方や本数は現場によって異なる場合がありますが、今回の現場では1本ずつロープを取っていく形で作業が進められていました。そのため、作業時間は2時間近くに及びました。
▲本船から繰り出される8本のロープ。@から順に取り進め、最難関のFGを取って作業完了。
ロープを安全に扱うための工夫
ロープにはそれぞれ役割があり、後半(スターンラインD〜G)になるほど、岸壁までの距離は遠くなっていきます。特に7本目・8本目は岸壁までの距離が最も遠く、ロープを長く繰り出す必要があり、海面に出たロープの抵抗も大きくなります。
ロープが長くなるほどボートの動きを制御しづらくなるため、何回かに分けて前進や移動を繰り返しながら、少しずつ位置を調整していきます。
スターンライン:船尾から岸へ取る係留索で、船が前後方向に動いたり、船尾が流されたりするのを抑える役割があります。
「左かわしてください」の意味
作業中には、船長から「左へかわしてください」という指示が出される場面もありました。これは、本船を右へ回頭させたい場面で、ロープを左側へ寄せることでボートのプロペラへの巻き込みを防ぐための指示です。
もしロープがボートの下へ入り込む角度になると、プロペラへ巻き込まれる危険があります。そのため、ボートの船首側の防舷材についたタイヤの間へロープを逃がしながら作業を進めていました。
わずかな位置の違いにも見えますが、安全に大きく関わる重要な判断です。
▲右方向に移動したいとき、左にロープをかわすと…
▲右方向に移動したいとき、右にロープをかわすと…
ロープの下を通過するときも安全確認
作業中には、先に張られたロープの下をボートが通過する場面もあります。ただし、ロープがたるんでいる状態では危険です。
この日の作業でも無線で確認し、ロープがしっかり張った状態になってから通過していました。映像ではスムーズに見える場面でも、その裏では細かな安全確認と意思疎通が続いています。
▲阿吽の呼吸で先に張られたロープの下をくぐる
おわりに
すべてのロープを取り終えて、無事作業完了となります。港で見かける巨大船の裏側では、多くの船と人が連携しながら、安全を支えています。
ポートサービスのブログやSNS、YouTubeでは、そんな"はたらく船"の魅力を発信しています。大型船の迫力だけでなく、その裏側で活躍するはたらく船たちの操船や細やかなサポートにも注目していただけると嬉しいです。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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