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2025年06月03日 [横浜の通船・ラインボート ]
なぜ船名に「○○丸」が多いの?由来と意味をやさしく解説
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
船名にまつわる話は、ポートサービスのブログの中でも特に人気のテーマです。
「なんで船には“○○丸”が多いの?」「船名にはどんな意味が込められているの?」
そうした疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
実は、乗り物の中で一隻一隻に公式な名前が付けられる文化が根付いているのは、船だけと言われています。だからこそ、船名には歴史や由来、そして名付けに込められた深い想いが詰まっています。今回はそんな船名の文化や由来を深掘りしつつ、ポートサービスが運航する船の名前もご紹介します。

船名といえば?「○○丸」が多い理由
船の名前と聞いて、まず「○○丸」という名前を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ポートサービスでも、扇海丸や剣丸といった名前の船が活躍中です。
「丸」がつく船名の歴史は古く、記録に残っている最古の例は鎌倉時代・1187年の古文書に登場する「坂東丸」だといわれています。また、戦国時代には豊臣秀吉が造らせた巨船に「日本丸」と名付けたという説もあります。
現代でも「日本丸」という名は広く使われています。例えば横浜のシンボルとして知られる帆船「日本丸」は、1930年に建造された航海練習船で、およそ54年間で地球を45.4周する距離を航海しました。現在は横浜みなと博物館(日本丸メモリアルパーク)にて一般公開されています✨
そもそも、船名の『丸』ってどういう意味があるの?
「丸」の語源には諸説ありますが、代表的な説としては以下の3つがあります:
1. 麿(まろ)説
かつて自分のことを「麿(まろ)」と呼んでいたことから、愛着や敬意をこめて名前に使われ、「麿」→「丸」に変化したとされます。
2. 城の構造説
お城の「本丸」「二の丸」などの呼称から転じたという説。船を“海に浮かぶ城”と見立てたものです。
3. 魔除け説
「おまる(携帯便器)」に通じる言葉をあえて名前に使うことで災いを避けるという、いわゆる忌み言葉による魔除けの風習です。
室町時代から続く伝統
時代は遡って1392年(南北朝時代後期)。「品河湊船帳」と呼ばれる、現在の東京都品川区付近にあった港の記録帳によれば、停泊していた30隻のうち24隻に「丸」が付いていたと記されています。この時代にはすでに「丸」の付く船名が一般的だったようです。
明治時代に入ると、海軍や商船に命名基準が定められ、商船には「末尾に“丸”を付けることが望ましい」とされました。そのため当時の日本の船は、海外から「マル・シップ(Maru ship)」と呼ばれていたそうです。
昭和に入るとアラビア数字の使用が認められるなど命名は柔軟化し、平成13年に“丸”の指導が廃止。平成16年には完全に自由な命名が可能になりました。

『アルタイル』という船名に込められた願い
こうした流れの中で、近年では「丸」にとらわれない自由な命名も増えています。
ポートサービスで運航しているパイロットボート「アルタイル」もその一例です。
この名前は、七夕伝説の彦星としても知られる恒星「アルタイル(ALTAIR)」に由来しています。古くから航海者を導いてきた明るい星にちなみ、安全への願いが込められています。

おわりに
乗り物の中で唯一、個々の名前が公式に付けられる文化が根付いているのは船だけと言われています。「丸」に込められた愛着や敬意、「アルタイル」に託された安全運航の願い──
船名にはそれぞれ物語があります。
そんな思いを乗せて、今日もポートサービスの船は横浜の海を航行しています☺️今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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参考文献
中世の帳合法と湊(田中大喜)
※本記事は、以前公開した船の名前に”丸”が多いのはなんで?【船名の由来・日本編】の記事をベースに、最新情報や社内の事例を加えて再構成した内容です。