BLOG
船の旗には意味がある|H旗・A旗・Q旗でわかる現場の合図と由来【国際信号旗】
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
港を行き交う船を見ていると、船体に色とりどりの旗が掲げられていることがあります。
実はあの旗、ただの飾りではありません。国際信号旗と呼ばれ、旗の色・模様の組み合わせが、それぞれ決まったメッセージを持っています。
今回は、ポートサービスの現場でもよく使われるH旗・A旗、そしてコロナ禍で注目を浴びたQ旗の3つの歴史をご紹介します。
国際信号旗とは?旗が「言葉」になる仕組み
国際信号旗とは、船舶がお互いの状況を伝え合うために使う旗のことで、アルファベット26文字、数字10種などに対応した40種類以上が国際的に定められています。
一枚で一文字を表す他、組み合わせることで文章を伝えることもできます。
船はひとたび海に出ると、言葉も文化も異なる国の船と行き交います。そのため、どの国の船員が見ても意味が通じる「共通言語」=国際信号旗が必要なのです。
詳しくは『船と船の挨拶【国際信号旗】』もご参照ください💁♀️
H旗|水先人を乗せています
H旗は、水先人※を乗せている、またはこれから乗せようとしていることを周囲に知らせるための旗です。
※ 水先人(水先案内人、パイロット):港の出入りや狭い水路を安全に航行するために、船に乗り込んで操船を補助する専門家。その港特有の地形・潮流・岸壁の配置などに精通しています。
ポートサービスでは、大型船にパイロットを送迎する「パイロットボート」を運航しています。
このパイロットボートにも、「H旗」を掲げています。
パイロットボートは、東京湾に入出港する大型船にパイロットを送り届けるのが主な役割。
H旗は、海上でパイロットボートから大型船にパイロットが乗り移る際、周囲の船に「今、移乗作業中ですよ」と知らせています。
なぜ「H旗」と呼ばれるのか
正式な文献は見つけることができませんでしたが、H旗の由来はイギリス軍提督のイニシャルをとったという説を聞いたことがあります。
かつて「7つの海を支配した」と言われるほど世界中の海に影響力を持ったイギリス海軍。その力の大きさを思えば、世界共通の信号旗の歴史にイギリス軍提督の存在が深く関わっているとしても、不思議ではありません。
ちなみに、国際信号旗の発展に大きく寄与した イギリス軍提督 リチャード・ハウ(Richard Howe)のイニシャルもHですね😳
A旗|ダイバーが潜っています、近づかないで
A旗は、潜水作業中であることを知らせる旗です。
「本船の付近に潜水夫がいます。速力を落とし、十分な距離を保ってください」というメッセージが込められています。プロペラに巻き込まれる危険を防ぐため、重要な役割を持つ旗です。
港湾の現場では、船の点検・補修、岸壁の調査などで潜水作業が行われることがあります。そのような場面で、A旗を掲げて他の船に注意を促します。
Q旗|検疫をお願いします
Q旗は現在、本船乗組員の健康に問題はないため、検疫に関する通行許可の交付を求めるという意味で使われています。
※ 検疫:外国から入港する船・航空機について、感染症の持ち込みがないかを確認・管理する手続き。
Q旗の「Q」は、Quarantine(クアランティン)=検疫の頭文字です。
この「quarantine」という言葉、実はイタリア語の「quaranta(クアランタ)=40」が語源とされています。
大航海時代と40日間の隔離
ヨーロッパの国々が新しい貿易のルートを求めて、世界中へ船を出した大航海時代、経済とともに広がったのが疫病でした。
この時代、特にイタリアの港湾都市では、外国から来た船を沖合で40日間留め置くことを命じました。
多くの感染症には潜伏期間があり、その間に発症しなければ安全と判断されたからです。この「40日間の隔離」が語源となって、今の「quarantine」という言葉につながっています。
コロナ禍を経験した現代の私たちにとっても、少し身近に感じる語源ですね。
▲よく見ると黄色のパイロットボートに旗が掲げられています。何の旗かな?☺️
おわりに
船に掲げられている旗の意味がわかると、港の景色がちょっと違って見えてきます。
──「あの船、パイロット乗ってるな」
──「今、潜水作業してるんだ」
そんな視点で見てみると、“はたらく船”の現場がもっと身近に感じられるかもしれません。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
次回のブログもお楽しみに💁♀️
ポートサービスの公式アカウントでは交通船や横浜の魅力を発信中! 💁♀️Instagram
💁♀️ブログ
💁♀️YouTube
参考文献
国際信号旗 - Wikipedia
リチャード・ハウ - Wikipedia
【みんなの知識 ちょっと便利帳】国際信号旗 (benricho.org)




