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[横浜の通船・ラインボート ]

2026年05月12日

【動画】時速13km|止まらない船でパイロット(水先案内人)が乗り移る理由とは?

はじめに


いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。

一見すると静止しているように見えるこの場面。しかし実は、本船は約6〜7ノット(時速11〜13km)で航行中です。止まっているように見えて、本船もボートも動いている――。
※1ノット=時速約1.85km
今回は、停船することなく行われるパイロットの乗り降りの様子と、その裏にある仕組みについてご紹介します。

横浜港で航行中の原油タンカーに水先案内人(パイロット)が乗り移る様子▲パイロットを送迎するボートから撮影した本船(原油タンカー)

パイロット交代とは?


大型船が入出港する際には、その海域の地形や海象を知り尽くしたパイロット(水先案内人)が乗船し、安全な航行をサポートします。
※海象:波・潮流・風など、海の状態のこと
パイロットは担当するエリアによって役割が分かれています。

ベイパイロット

湾の入口から航路を通って港の近くまでを案内するパイロットです。広い湾内での安全な航路取りを担います。

ハーバーパイロット

港内での離着岸を担当するパイロットです。岸壁への接岸という、よりピンポイントな操船を担います。

本船の中では、この2人がバトンタッチします。ブログ後半でご紹介している動画では、ハーバータグ(小型船)からハーバーパイロットが乗り込み、それまで操船を担当していたベイパイロットが下船。そのベイパイロットを、別のボートが港まで送り届ける様子が映されています。


船が止まらない理由


一見すると、「止まった方が安全なのでは?」と思いますよね。船を止めずに送迎する理由は、とてもシンプルで――動いている方が、船を安定させやすいからです。

船が完全に止まってしまうと、風の影響を受けやすくなり、波に流されやすくなります。また、船同士の位置を保ちにくくなるため、かえって危険な状況を招くことがあります。

ある程度のスピードで前進していると、水の流れが生まれ、船の動きが安定します。つまり現場での判断は「止まる=安全ではない」「動いている方が安定する」というわけです。


水の流れがつくる"吸い寄せる力"


では、実際にどうやって小さなボートが大きな本船にピタッと寄り添うのでしょうか。ポイントは、2隻が並走することで生まれる水の流れです。

船と船の間の水は、押し出されることでスピードが上がり、その部分の圧力が下がります。すると、ボートは自然と本船側へ吸い寄せられるような状態になります。

さらにボートは、舵を本船側へ切り、水の流れを斜めに押し出すことで、その反作用を利用し、より強く本船へ寄せていきます。つまり、水の流れ+舵の操作の組み合わせで、安定した接近が可能になるのです。

逆に、スピードが遅すぎる(5ノット以下など)と、水の流れが弱くなり、吸い寄せる力が不安定になります。風や波に振り回されやすくなるため、遅ければ遅いほど安全というわけでもないのが、この作業の難しいところです。



現場のリアル|静かに見えて緊張感のある瞬間


映像で見ると、波も穏やかで、どこか落ち着いたシーンに見えるかもしれません。これは、本船が盾となって
風裏に位置しているため、ボート周辺の波が比較的穏やかになっているからです。

しかし実際には、数百メートル級の船体のすぐ横で、常に動いている船同士が並走しながら、タイミングを見極めて人が乗り移るという状況です。その一瞬一瞬の判断には、船長や船員の高い集中力が求められています。


おわりに


一見すると止まっているように見える船。でもその裏では、水の流れを読み、力をコントロールしながら、安全な作業が行われています。

大きな船の活躍を、裏側で支える"はたらく船"たち。港で船を見かけた際には、そんな存在にもぜひ注目してみてください☺️

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。次回のブログもお楽しみに🎵

参考文献
パイロット(水先人)|出光タンカー株式会社

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