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なぜ“馬年”じゃなく“午年”?時間と方角に残る干支の話

はじめに



12月も終わりに近づき、街や港の空気にも、少しずつ年末らしさを感じるようになってきました。この時期になると、「来年はどんな一年になるのだろう」と、自然と先のことに思いを巡らせたりしますよね。

そんなわけで、今回のテーマは──来年の干支 「午(うま)」。干支というと12年に一度の巡り合わせですが、「午」の文字は案外日常にも隠れています。普段何気なく使っている「午」の文字について、今回のブログでは少し掘り下げてみたいと思います。

馬

「午年」って、なぜ「馬年」じゃない?



干支は、『子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥』の十二種類で表されます。この中で「午」は、ちょうど7番目。
「うまどし」は「馬年」ではなく、「午年」と書くのが正式です。

ところでこの「午」という字、「うま」と読む以外にも、どこかで見覚えがありませんか?

──「正午」「午前」「午後」の「午」

そう、「正午」「午前」「午後」など、時間を表す言葉に使われています。

なぜ、時間を表すのに「午」の字が使われているのでしょうか。
その理由をたどると、江戸時代まで使われていた時刻の考え方に由来します。

昔の日本では時間も干支で数えていた|十二支と時刻の関係


現在では、1日は24時間で区切られていますが、
江戸時代までは、1日を12の刻(こく)に分けて生活していました。

その刻を表す方法のひとつが、
年を表すのと同じ 干支(子・丑・寅…)で時刻を数える方法です。

干支で時刻を数える場合、午前0時前後を「子の刻」とし、そこから2時間ごとに、丑、寅、卯…と順番に進んでいきます。夜中の2時頃のことを、「丑三つ時」と言ったりしますよね。

そうして数えていくと、
ちょうどお昼の12時が「午の刻」になります。


12時を「正午」と呼ぶ
「午の刻」より前が「午前」
「午の刻」より後が「午後」


という言葉が生まれました。

普段、何気なく使っている言葉にも、干支の名残がしっかりと残っているのですね。

干支は方角も表していた|子午線と「午」の意味



実は干支は、方角を表す際にも使われていました。
北が「子」、東が「卯」、南が「午」、西が「酉」です。

北極と南極を結ぶ線を「子午線」と呼ぶのも、
北(子)と南(午)に由来しています。
十二支 以前のブログでもご紹介した「おもかじ」「とりかじ」も、実はこの十二支の方位が由来です。

卯の方向(東・右)に向ける舵が「卯の舵」から転じた「おもかじ」
酉の方向(西・左)に向ける舵が「酉の舵」から転じた「とりかじ」


このように、時間や方角、そして航海に関わる言葉の中にも、
干支の考え方が深く根付いていることがわかります。

おわりに



午は、力強く前へ進む姿から、物事が順調に進む年、運気が上向く年ともいわれています。
新しい年が、安全に、そして着実に前へ進んでいける一年となりますように。

本年のブログはこれで最後となります。
2026年も、皆さまに港や船の仕事を身近に感じていただけるよう、発信を続けてまいります。

今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました☺️


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参考文献
緑園ネット
【航海用語】『おもかじいっぱ〜い!』の”おも”って何だ?

イラスト引用
イラストAC

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