2025年10月14日 [横浜の通船・ラインボート ]
汽笛の回数で意味が違う?港で聞こえる“船の会話”
はじめに
港にいると、時折聞こえてくる「ボーッ」という船の汽笛。実は、その音の長さや回数には、海上での安全な航行を確保し、互いにコミュニケーションを取るための、大切なメッセージが込められています。いわば、船同士の会話。今回のブログでは、船の汽笛が持つ様々な意味をご紹介します。

汽笛の基本ルール:長音と短音の使い分け
船の汽笛信号には、大きく分けて「長音」と「短音」の2種類があります。これらの音の組み合わせによって、船は様々な情報を伝達します。
長音
約4秒から6秒間継続して鳴らされる汽笛です。主に、他の船舶への「注意喚起」や、港からの「出航・入港の合図」など、比較的広範囲にわたる情報伝達や状況の変化を知らせる際に用いられます。
短音
約1秒間継続して鳴らされる汽笛です。こちらは、自船の「操船の意図表示」や、特定の状況下での「警告」など、より具体的な情報伝達に使われます。
これらの汽笛信号は、「海上衝突予防法」という国際的なルールによって厳格に定められています。これにより、世界中のどの海域においても、共通の認識のもとで安全な航行を行うことができます。
汽笛が伝える「操船の意図」
船の汽笛は、単に存在を知らせるだけでなく、これからどのような動きをするのかという「操船の意図」を明確に伝えます。これにより、他の船舶は衝突を避けるための適切な行動を取ることができます。

短音1回
「私は右に針路を向ける」:例えば、他の船とすれ違う際に、自船が右に舵を切ることを知らせる合図です。
短音2回
「私は左に針路を向ける」:同様に、左に舵を切ることを知らせる際に使われます。
短音3回
「私は後進している」:港での離岸時や、狭い場所での方向転換など、船が後退する際に鳴らされます。船の推進器が逆回転していることを示します。

長音2回に引き続く短音1回
追い越し船が「貴船の右舷側を追い越す」:前方を航行する船に対し、自船が右側から追い越す意図があることを伝えます。
長音2回に引き続く短音2回
追い越し船が「貴船の左舷側を追い越す」:同様に、左側から追い越す意図があることを伝えます。
長音・短音・長音・短音
他の船舶に追い越されることに同意した場合:「どーぞ、どーぞ」と覚えると良いそうです😀
危険を知らせる「警告信号」
汽笛は、操船の意図だけでなく、危険を知らせるための重要な警告信号としても機能します。特に緊急時には、これらの信号が命を守ることに直結します。
短音5回以上
「貴船の意図が分からない」「衝突の危険がある」:他の船の動きが不明瞭だったり、衝突の危険を感じた際に、自船が危険を察知していることを相手に強く知らせるために鳴らされます。
霧中信号
視界不良時(霧など)に、自船の存在を知らせるための信号。濃霧などで視界が著しく悪い場合、船は定期的に汽笛を鳴らして自船の存在を周囲に知らせます。
※この信号は、船の種類や状況によって鳴らし方が異なります。
おわりに
長音と短音、その回数の組み合わせによって、船は互いに操船の意図や危険を伝え合い、時には挨拶を交わしています。ちなみに、下記のインスタグラムの投稿ではポートサービスで活躍しているジュピターの汽笛音を聞くことができます🎺🚢
どんな音がするか、リンクをタップしてぜひお確かめください😀今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ポートサービスの公式アカウントでは交通船や横浜の魅力を発信中!
💁♀️ブログ
💁♀️YouTube
参考文献
国土交通省 海上保安庁. 海上衝突予防法第32条
国土交通省 海上保安庁. 海上衝突予防法第34条
国土交通省 海上保安庁. 海上衝突予防法第35条