[横浜の通船・ラインボート ]
2026年03月17日
船を留めるのはアンカーだけじゃない?実は重要な錨鎖(びょうさ)の役割
はじめに
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
ポートサービスでは交通船の運航を通じて、大型船の入出港をサポートしています。
さて、つなとり※などで大型船に接近すると、写真のようにアンカーのあたりから水が流れ出ているのを見かけることがあります。
※つなとり:港で船を岸壁につなぎ止めるために、船から係留ロープを受け取ったり、岸壁のビットに掛けたりする作業のこと。
実はこれ、海底から引き上げたアンカーや錨鎖(びょうさ)に付いた海水や泥を洗い落とすためのものなんです。
船を安全に留めるためのアンカーですが、実は錨鎖(びょうさ)の方にも重要な役割があるのをご存知ですか?今回は意外と知られていない錨鎖の役割をご紹介します。
アンカーが効く仕組み(把駐力)
船が海上で留まるときに使われるのがアンカーです⚓️
アンカーは海底に沈み、爪の部分が砂や泥に食い込むことで船をその場所に留めます。
このとき働く力を把駐力(はちゅうりょく)といいます。
これは、アンカーが海底に食い込むことで生まれる抵抗の力のことです。
例えば、砂場やビーチで足を砂の奥深くまで入れると、なかなか抜けなくなりますよね。アンカーもそれと同じで、海底の砂や泥に爪がガッチリ食い込むことで、重い船をつなぎ止める力が生まれます。
船を留めているのはアンカーだけではない
ただし、船を留めているのはアンカーの爪だけではありません。
ここで重要になるのが、アンカーにつながっている錨鎖(びょうさ)です。
錨鎖は、アンカーと船をつないでいる鎖のことです。
アンカーがしっかり海底に食い込むためには、できるだけ水平に近い方向から引っ張られることが重要です。
海上の船からアンカーを垂直に下ろしただけでは、錨鎖が上方向に引っ張られてしまい、アンカーは抜けやすくなってしまいます。
そこで錨鎖を長く出すことで、アンカーを海底に対して水平に近い方向から引くことができるようになります。
するとアンカーの爪が海底にしっかり食い込み、船を留める力(把駐力)が大きくなります。
例えるなら、テントを張るときのペグ(杭)。
ペグを地面に真っ直ぐ刺して真上に引っ張ると、スポッと抜けてしまいます。でも、ペグを斜めに刺して横の方から引っ張れば、地面にしっかり食い込みます。
船も同じで、鎖を長く出してアンカーを「横(水平)」に引っ張ることで、本来の力が発揮されます。
鎖の「重さ」も船を支えている
さらに、錨鎖はその「重さ」自体でも船を支えています。
何十トンもある重い鎖が海底に長く横たわっていると、それだけで大きな摩擦が生まれます。船が風や波で動こうとしても、重い鎖が抵抗となり、船を引き止める助けをしてくれます。
おわりに
船を安全に留めるためには「アンカーの爪の力」と「錨鎖の長さ・重さ」が欠かせません。
ところで、アンカーを意味する漢字には、「錨」のほかに「碇」という字もあります。
「碇」という字は、昔の船で石を重りとして使っていたことから石へんが使われています。
その後、金属製のいかりが使われるようになり、「錨」という金へんの字が使われるようになったそうです。
漢字の中にも、船の道具の歴史が残っているのですね。アンカーの歴史については、【船の安全】アンカーの歴史と進化〜錨と碇はどう違う?〜でもご紹介していますので、よろしければ併せてご覧ください。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




