[横浜の通船・ラインボート ]
2026年04月07日
海図とは?船員に聞いた“海の地図”の役割と使い方
はじめに
ある日、事務所で船員さんが大きな紙を広げているのを見かけました。
地図のようにも見える…?それは、海図。
よく見ると数字や線がびっしりと書かれていて、普段見慣れている地図とは少し違う印象を受けました。
船は海の上を走るのに、どのように進むルートを決めているのか──。
何を基準に安全を判断しているのか──。
気になったので、実際に話を聞いてみました!
▲今日の航海はどこへ…?☺️
海図とは?船の安全を支える「海の地図」
海図とは、船が安全に航行するために使う「海の地図」です。
例えば、水深や障害物の位置、海底の状態(砂・泥・岩など)も、記号によって示されています。また、山や煙突などの高さも記されており、現在位置を確認する目印として使われます。
さらに、航路の区分や注意事項、航行に関するルールが注釈として記されていることもあります。
つまり、海図はその海域の地図プラス説明書のような存在なのですね。
▲今回の記事作成にも大活躍!日本水路協会様発刊の海図の手引き
海図でわかること|水深・障害物・錨地の情報
ここからは、海図に書かれている情報でわかることを少しだけご紹介します💁♀️
海図に書かれている小さな数字は、その位置における深さ(水深)を示しています。水深の情報は船が安全に通れるかどうかを判断するために欠かせません。船の大きさや喫水※によっては浅い場所を避ける必要があるからです。
喫水:船の「沈み具合」を示す指標。船底から水面までの垂直距離のこと。
また、航路を妨げずに停泊するための場所として、錨地の場所(錨をおろして停泊する場所)も記されています。錨地は、錨をおろすのに適した底質(岩・砂など)で、比較的波風の影響を受けにくい海域が指定されています。
そして、陸上の地図と大きく違うのは、目に見えない障害物が記されている点です。沈船や魚礁、サンドウェーブ※など、海ならではの情報が掲載されています。
サンドウェーブ:潮流の強い砂質の海底に形成される波状の地形。海底土砂が潮流によって移動し、水深を浅くすることで航行の障害となる。
▲「海図の記号を覚えて、海を知ろう!」資料を拡大。魚のマークが魚礁。
海図の使い方|航路の決め方と書き込みの工夫
海図は、ただ眺めるだけでなく、実際に書き込みながら使われています。
船員さんの話では、出航前に海図を広げ、コンパス(ディバイダー)や三角定規を使って距離を測りながら航海の計画を立てていくそうです。
例えば、「この地点まで進んだら、次はこの方向へ曲がる」といったように、進むルートを海図の上に描いていきます。海の上には目に見える道がないため、あらかじめこうした計画を立てておくことが重要になります。
また、書き込みにはB程度のやわらかい鉛筆が使われます。硬い鉛筆では線が残りやすいため、あとから消したり修正したりしやすいように工夫されているのだそうです。
なぜ紙の海図はなくならない?電子海図との違い
現在では、位置情報や航路を画面上で確認できる電子海図が広く使われています。ポートサービスで運航中の船にも、電子海図を見るための端末が装備されています。
近年はコンピュータ技術の発達により、電子海図は急速に進化し、航海士に必要な情報を適切なタイミングで提供できるようになりました。
では、このような電子海図の普及によって、紙の海図はなくなっていくのでしょうか。
実は、そうではありません。
紙の海図には、今でも変わらない大きな強みがあります。
それが、「故障しない」という点です。
電子機器はとても便利ですが、万が一のトラブルや停電が起きた場合には使えなくなる可能性もあります。その点、紙の海図であれば、確実に情報を確認することができるため、今でも重要な役割を持ち続けています。
今回お話を伺う中でも、この点がとても印象的でした。
おわりに
海図は、ただの地図ではなく、船の安全を支える大切な道具です。
見えない海の中の情報を読み取りながら、航路を考え、必要な情報を書き込み、状況に応じて使い分けていく──その積み重ねが、安全な航行につながっています。
そして海図は、一度作られて終わりではありません。工事などによる変化にあわせて、補正用のシールを貼りながら、最新の情報へと更新されています。
海図は高価なものでもあるため、こうした方法で今も昔も大切に使われています。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
参考文献





