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[横浜の通船・ラインボート ]

2026年08月25日

海にも「道」と「信号」がある?横浜港・交通船の回航から解説


いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
「海の上って、渋滞も信号もなくていいな…」──そんなふうに思ったことはありませんか?
でも、実は海にも「航路」=道があり、「信号」があり、守るべきルールがあります。
今回は、交通船 ブルーライト回航時の出港から航行中までの様子を写真とともにご紹介します。

回航とは:メンテナンスや修理などのために、船舶そのものを目的地まで移動させること。

エンジンルームから出てきた

航行前の準備


この日は交通船のメンテナンスのため、横浜から三浦まで移動するという特別な1日でした。交通船に乗り組んでいるのは、船長と甲板員(上乗り)。

通常は横浜港を中心につなとりや通船に従事している船舶のため、三浦までの移動は普段とは違うルートを航行することになります。そのため、出港前の準備にも余念がありません。エンジンや船体のチェックを済ませると、電子海図で航路を確認します。

航海図

▲事前に電子海図をチェック


出航の時間になると、船長の操船と息を合わせて、甲板員が岸壁に掛かった係船ロープを外します。


船尾、船首のロープを外したあと、船首の周りにぐるりと取り付けられている防舷材のタイヤを足でヒョイと持ち上げていきます。防舷材は船体と岸壁がぶつからないようにするための大切な装備。航行中はデッキに上げ、再び着岸する際にタイヤを下ろします。



タイヤを足で上げる

▲華麗な足捌きでタイヤを持ち上げる


桟橋の狭い水路から交通船が後進で離れていくまで、ものの数十秒。その短い時間にも、作業がぎゅっと詰まっていました。


船長と甲板員、チームワークでの操船


船が動き出すと、船長は緊張感のある眼差しで進路を見ながら、操縦していました。他船の動きや浮標、浮遊物など常に周囲に注意を払っています。

一方で甲板員は、船長から見えにくい場所の見張りや、離着岸時のロープ作業、周囲の状況を伝えるなど、船の安全運航を支える重要な役割を担っています。

「右前方に〇〇船です」
「左舷にブイがあります」
など、細かな情報を船長へ伝えます。

船は船長一人ではなく、乗組員同士の連携によって安全に運航されていることを実感しました。


後ろ姿

▲操舵室から前方を確認する船長と甲板員




大きな船は、急には止まれない


航行中、大型船をエスコートするタグボートが近づいてきました。この2隻の間を横切ったり、交通船が先に進んだりすることはありません。交通船は少し進路を変え、大型船の後方を安全に航行します。


ハーバータグをよける

▲大型船とタグボートが通り過ぎていく


こうした判断は、船長の経験や周囲の状況判断だけでなく、港の中で安全に船を運航するためのルール「港則法」も関係しています。


港則法では、例えば次のようなルールが定められています。


  • ✅航路内で行き会うときは右側を航行する
  • ✅航路内では追い越しや並走は禁止
  • ✅航路へ出入りする船や航路を横断する船は、航路を航行している船の進路を避ける
  • ✅港則法でいう「汽艇等」は、港内では「汽艇等以外の船舶」の進路を避けなければならない

※汽艇等:港則法で定められた区分で、汽艇(総トン数20トン未満の汽船)、はしけ、端舟などを指します。


今回、回航した交通船ブルーライトは総トン数20トン未満のため、港則法でいう「汽艇等」にあたります。つまり港内では、汽艇等以外の船舶――今回のような大型船やタグボートの進路を避ける側の船、ということになります。

特に大型船は、車のように急ブレーキをかけたり、その場で大きく進路を変えたりすることはできません。だからこそ、小回りの利く船(今回の場合は交通船)が先に進路を譲ることで、安全な航行が保たれています。

※港則法が適用されるのは港域内で、港域の外では海上衝突予防法や海上交通安全法が適用されます。ここでは「大型船に進路を譲る」という考え方の一例としてご紹介しています。




海にも「道」がある ― 横浜航路


横浜港には「横浜航路」と呼ばれる海の道があります。長さは約4,500m、幅は約650m。
最も狭いところでは約400mしかありません。この航路はベイブリッジ付近を境に、西水路と東水路に分かれています。


本牧灯台

▲写真奥左側の建物が本牧船舶通航信号所


さらに、この航路には本牧・大黒・内港の3つの信号所があり、アルファベットの信号で入航・出航を管制しています。
例えば、「I」は入航のみ可能、「O」は出航のみ可能、「F」は入・出航のどちらも可能という意味。
一方、「X」は入・出航ともに禁止を示します。
このほか、信号が切り替わる前には「X」と「I」などを交互に点滅させて知らせる注意信号もあります。
船は好きなタイミングで勝手に出入りできるわけではなく、信号を確認しながら航路を通航します。



おわりに


横浜から三浦までの回航。その道中は、安全運航のための船長と甲板員の日ごろのチームワークが伺える1日でした。


動画では、実際の操船や船内の様子もご覧いただけます。写真では伝わりきらない船の動きや音も入っていますので、ぜひ併せてご覧ください。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。




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参考文献


横浜航路|第三管区海上保安本部

「海の交通ルール」をご存知ですか?|海上保安庁

港則法|e-Gov法令検索

※記事内の航法の記述は港則法および海上保安庁の資料をもとにしています。実際の運用は海域や状況により異なります。


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