[横浜の通船・ラインボート ]
2026年09月08日
【船の道具】サンドレットの「レット」って何? 名前の由来をたどってみた
いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
前回は、浅い岸壁でサンドレットを投げ、係留ロープを渡す様子をご紹介しました。
今回は、名前の由来や歴史など、サンドレットを深掘りしたいと思います。

▲ 岸壁に向かって投げる。
あらためて、サンドレットとは
サンドレットは、細いロープ(投げ綱)の先端に付ける重りです。
本船をつなぐ太いロープは重く、そのままでは岸まで投げられません。
そこで、まず細いロープを投げて渡し、それを手繰ってもらって太いロープを届けます。
その細いロープを飛ばすための重りが、サンドレットです。
ちなみにポートサービスで使っているのは、重りがゴム製のものです。
「サンドレット」って、どういう意味?
このブログでは「サンドレット」と統一して表記していますが、調べてみると「サンドレッド」と書かれることもあるようです。
「サンド」は砂。「レッド(lead)」は英語で鉛を意味します。※実際の発音はレッドよりもリードに近い。
電子機器のなかった時代、船は鉛の錘に綱を結んで海に落とし、その長さで水深を測っていたそうです。
それが「測鉛(そくえん)」と呼ばれる道具。3〜6kgほどの錘に、40〜60mの綱を付けたものです。

▲ 測鉛(12)と測鉛線(13)。錘に綱を付け、海へ投げ入れて水深を測った。出典:Captain Paasch, Heinrich, CC BY-SA 4.0, via Wikimedia Commons
さらに、錘の底のくぼみに獣脂(獣からとった脂)を詰めておくと、海底に触れたときに砂や泥がくっついて上がってきます。水深だけでなく、海底の状態まで分かったそうです。
このうち手で扱うタイプのものは「手用測鉛(ハンドレッド/hand lead)」と呼ばれます。イラストを見てみると、形状がサンドレットとよく似ています。
現在はゴム製のものも多く使われていますが、今でもサンドレット(サンドレッド)と呼ばれるのは、かつて砂を重りとして使っていた名残なのかもしれません。

▲ ポートサービスで使っているゴム製のサンドレット。
世界ではどんなものが使われている?
さらに調べてみると、投げ綱の重りは大きく2種類あることが分かりました。
ひとつは、ロープを編み込んだ袋や布袋などに砂を入れたもの。ポートサービスで使っているゴム製も、同じ形をゴムに置き換えたものです。
もうひとつが「モンキーフィスト(monkey's fist=猿の拳)」。
ロープそのものを球状に編み込み、握りこぶし大の結び目を作った道具です。
▲ モンキーフィスト(猿の拳)。ロープを球状に編み込んで作る。出典:Markus Bärlocher, Public domain, via Wikimedia Commons
かつては結び目の中に鉛や小石を入れることもあったそうですが、当たると危ないため、今は入れないのが原則です。
おわりに
ただの重りに見えて、名前にも、その中身にも、ちゃんと理由がありました。
実際にサンドレットを投げている様子は、動画でもご覧いただけます☺️
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
参考文献
A monkey's fist|Brixton Windmill
※画像:Captain Paasch, Heinrich「Paasch Illus Mar Ency 1890 pl 98a - Lead and Lead-line」CC BY-SA 4.0/Markus Bärlocher「Affenfaust」Public domain いずれも via Wikimedia Commons






