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2025年07月08日 [船の豆知識]

日本初の特許は、船底を守る塗料だった!?

はじめに


いつもポートサービスのブログを読んでくださり、ありがとうございます。
今回は、ちょっと意外で、船に縁のある“日本初”のお話をご紹介します。

皆さんは、日本で一番最初に認められた特許が何だったかご存じですか?
ヒントは…以前ブログでも紹介したことがあるアレです。答えは次の項で☺️
船底イメージ

「特許」ってなんだろう?


まずは、「特許」とは何かを少しだけご紹介します。
特許とは、「新しい発明やアイデアを、発明者の権利として一定期間守る制度」のことをいいます。日本で特許制度が始まったのは、1885年(明治18年)。

この年の7月1日に申請受付が始まり、そこからわずか1か月後の8月14日、記念すべき第1号の特許が、ある発明家に認められました。
そしてその内容こそが、日本初の特許――船底を守る防錆塗料だったんです!
船底 貝▲撮影協力:志津川造船鉄工所

発明者は、工芸の達人・堀田瑞松(ほった ずいしょう)


この防錆塗料を発明したのは、堀田瑞松(ほった ずいしょう)氏。1837年、現在の兵庫県豊岡市に生まれました。
刀の鞘(さや)に漆を施す職人の家に生まれ育ち、若くして彫刻や木工の技を磨きます。その技術は高く評価され、やがて京都御所にも作品が納められるまでに。天皇から「瑞(ずい)」の字を賜り、以後「瑞松」と名乗るようになったと伝えられています。

海のサビに、漆の技術で挑む


そんな堀田氏が取り組んだのが、鉄製の船底が海水によって激しく腐食するという課題でした。
当時使用されていた塗料は防錆効果が不十分で、早ければ半年ごとの塗り替えが必要とされるほどでした。
堀田氏はこの問題に対し、自身が親しんできた漆の技術を応用しようと試みます。生漆に鉄粉、柿渋、酒、酢、生姜など、自然由来の材料を巧みに組み合わせて、独自の防錆塗料を完成させました。
ちなみに、この防錆塗料は2009年に再現実験が行われ、120年以上の時を経ても防錆性能が健在であることが確認されています。
漆:ウルシノキの樹液から作られる天然の塗料・接着剤。日本や中国で古来から使われ、防水性・防腐性に優れる。
漆

海軍による実験で、高い評価を獲得


1884年、堀田氏の開発した防錆塗料は、海軍の協力のもと、横須賀の船で実験が行われました。
そして7か月後に実施された再検査では、「外国製よりも優れた防錆効果がある」と高く評価されたのです。
汚れの付着を防ぐ点ではまだ改良の余地があったものの、鉄を錆から守る性能においては極めて高い実用性を示しました。

日本初の特許として認定される


こうした成果を背景に、堀田氏は1885年7月1日、「堀田鏽止塗料及ビ其塗法(さび止め塗料とそのぬり方)」として特許を出願。
翌月の8月14日には、日本で初めて認められた特許として正式に登録されました。

こうして、日本の特許制度の歴史は、船を守る塗料から始まりました。
喫水牡蠣殻▲上架して船底の掃除やメンテナンスを行う

おわりに


先日のブログでもご紹介したように、塗装メンテナンスは、船の美しさを保つだけでなく、安全な航行に欠かせない重要な作業です。
日本は四方を海に囲まれ、現在も貿易における貨物の約90%が海上輸送で運ばれています。
そして、歴史的にも世界有数の造船大国として発展し、高度な技術で多くの船を世に送り出してきました。
そんな国で最初に認められた特許が「船底塗料」だったと知ると、どこか納得感がありませんか?ちょっと意外で、でも日本らしい――そんな“日本初”のお話でした。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。


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参考文献
特許 - Wikipedia
日本化工塗装株式会社 - 資料PDF
◯コーヒーブレイク、日本の特許第一号は「塗料」なんです。
漆 - Wikipedia

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